「アップデートしたX-T5を持ち出して」
タイのバンコクから開催されたフジフイルムの新製品発表会『X Summit BKK 2023』で僕の使ってるX-T5、それとX-H2の両機種のファームウェアアップデート(バージョン: 2.00)のアナウンスがありました。今回はAF周り中心のアップデート。被写体認識に昆虫とドローンも追加されましたが、僕が期待してるのはAF自体の性能アップです。先にX-H2sはアップデートされてましたが、まだかまだかと待ちにまってました。逆に言えばそれだけX-T5のAF性能に満足がいってない部分があるという事です。
フジフイルムのサイトにアップデーターが公開されてすぐにダウンロードして、次の日かその次の日には、アップデートしたX-T5を持ち出して野鳥撮影に行ってきました。
感想としては、正直・・・そこまで大きな違いは感じません。近距離から遠い距離への鳥へのAFのピントの合い具合は速くなったような気はします。前は遠いところを飛んでいる鳥にはレンズ側のフォーカスリミッターのスイッチでタムロンの場合は10m~無限(フジ純正レンズは5m~無限)に設定して使ってましたが、制御しなくても前よりピントが行くような感じがします。つまり遠いところを飛んでる鳥が10mより近くに来てもピントを合わせ続けることが出来るので、そこは撮影チャンスも増えるので有難いです。ただ、常に10m先辺りを飛んでる鳥には、やはりフォーカスリミッターで10m~無限に制御してしまった方が、AFの合いが速いように感じます。
「AFの合いが速い」=「AF合焦速度の改善」がされたという事だと思いますが、その代わりAFの追従(トラッキング)が前よりも外れやすくなったような感じがします。もうここらへんはどこかのバランスを上げると、どこかのバランスが下がるという事なのではないでしょうか。アップデートで調整しようがカメラに元々積んでるエンジンは同じわけなので、車で言えば100キロが110キロになったぐらいの差しかないんじゃないかと思っています。
撮影した写真はアップデートしたX-T5にいつも使っているタムロン150-500mm f5-6.7で撮った写真ですが、正直サギとかの飛翔ならアップデート前のX-T5でも普通に撮る事ができるわけで、重要なのは水辺でのハリオハチクイやカワセミのように高速で飛翔する鳥をAFがしっかり捉えられるのかどうかだと思います。今タイはハリオハチクイのシーズンでは無いのでなかなか試す機会がないですが、少し水辺を飛んでいたツバメの飛翔に試してみた感じだと、まぁアップデートしたとは言っても、ハリオハチクイではソニー機のようにはいかないだろうなという印象を受けました。
もう今後これ以上の大幅なX-T5のAF周りのアップデートは無いんじゃないか、あったとしてもそこまでは期待できないんじゃないかとは思ってますが。フジフイルムはもう次のカメラではAFはソニーのを使わせてもらったらどうだろう? フジのカメラは写真の色や写りの質感はとても良いので、AFがソニーになれば大分良いカメラに仕上がると思います。キャノンやニコンや、野鳥撮影だとマイクロフォーサーズのOM-1とかもありますが、野鳥の超高速飛翔の撮影だけで言えば、やはりソニー機が抜きんでてるんじゃないかと。タイの猛者たちが散々ハリオハチクイの飛翔撮影をして、僕もその場でいろいろなメーカーのカメラで撮影した写真を見て思うのが、やっぱりソニー機のAFってすごいなと。フジのカメラで本体の設定をいろいろ調整したり、置きピンしてみたり、時にはMFにしたり、少しでもAF性能を上げるためにレンズを買ったり売ったりレンタルして試したりもしましたが、多分ソニー機ならiPhoneしか使わない僕の奥さんでもシャッター押すだけでハリオハチクイの飛翔が撮れてしまう気がする。とにかく鳥がレンズの前を飛んでさえすれば、撮れてしまうわけなので。機械っぽいあの写りはあまり好きではないけれど、AF性能はほんとソニーは良いなと思います。
一度フジフイルムの開発チームの人たちにもタイでハリオハチクイの飛翔撮影でAF検証をしてもらいたいくらい。
僕はアップデートしたX-T5はもちろん、タムロン150-500mmのレンズにしてからは、まだ一度もハリオハチクイの飛翔に出会えてなくて、またシーズンがやって来るのが楽しみではあるけど、それと同時にまたAF性能で悩む日々がくるかも知れないと思うと、少し憂鬱でもあります。それでも僕のフジフイルムX-T5との鳥撮り物語は続くのです。
Fujifilm X-T5 / Tamron 150-500mm f5-6.7
photo by yotarosuite
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